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健康保険の使用について

1 健康保険にて診療を受けたほうがよい場合

交通事故の治療に際し、加害者が加入する任意保険会社から治療費の支払(賠償)を受けるのが一般的です。

この場合、相手方が治療費を負担することとなるため、被害者のほうで、健康保険を使う必要はありません。

しかしながら、以下のように、ご自身の健康保険にて診療を受けたほうがよい場合があります。

⑴ 事故における自身の過失割合が、3割を超える場合。

例えば、相手方の過失割合が6、自己の過失割合が4の場合、相手方からは、医療費合計のうち6割しか賠償を受けることができず、残り4割は自己負担となります。

しかし、健康保険を使用すれば、自己負担割合は3割で済むことになります。

⑵ 相手方からの治療費支払について、一定期間(例;事故発生日から3か月など)が経過したことを理由に、打ち切られる場合があります。

この場合、上記打ち切りを妨げることができる法的な手段はないため、打ち切り以後も受診を継続しようとする場合、被害者としては、後で相手方に対し打ち切り以後の治療費についての賠償を求めることはともかくとして、当座は、被害者自身の費用負担により受診を継続する以外にありません。

この場合、健康保険を使用すれば、受診継続に係る負担を軽減することができます。

これに対し、健康保険を使用せず、自由診療として受診を継続する方法もありますが、一般的には高額な金額となり、経済的負担が大きくなります。

また、打ち切り以後の自由診療に係る費用を相手方から全額回収できるか明らかではない場合、傷害に対する自動車賠償責任保険の限度額が120万円にとどまることをも考慮すると、打ち切り以後も自由診療で受診することは現実的ではないと考えられます。

2 提出書類について

ただし、健康保険を使用するに際し「第三者行為による傷病届」などの書類を健康保険組合(国民健康保険の場合は市区町村)に提出する必要があります。

これは、健康保険組合が医療費(治療費の7割)を負担した後、その額を、加害者に請求することができるとされており、その際、加害者の特定や事故状況の把握が必要となるためです。

必要な書類の範囲は、ご自身が所属する健康保険により異なる場合がありますので、ご自身の健康保険の担当部署に問い合わせるのがよいでしょう。

また、「交通事故を原因とする診療には健康保険は使えない」とする見解がありますが、政府はこれを否定しています(昭和43年10月12日 保険発第106号、旧厚生省の担当課長による通知)。