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後遺障害逸失利益の計算方法とライプニッツ係数

1 逸失利益とは

交通事故に遭って被害者に後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害によって労働能力を一部または全部喪失することにより、事故に遭わなければ100パーセント受け取れたはずの利益が一部または全部失われてしまいます。

これらの失われてしまった利益のことを「逸失利益」といい、特に後遺障害によるものを後遺障害逸失利益といいます。

そして、その後遺障害逸失利益を計算するための計算方法には「ライプニッツ係数」という指数が用いられています。

2 ライプニッツ係数とは

ライプニッツ係数とは、将来何年かの期間にわたって受け取るはずだった収入を前倒しで受け取る際に、その期間で発生する利息を控除するために使う指数です。

例えば、交通事故により労働能力を全部喪失(労働能力喪失率100パーセント)した方が、就労可能年数までの10年間働いて5000万円の収入を受け取る可能性があったとします。

その5000万円を今すぐまとめて受け取って銀行に預けた場合、10年後にはその5000万円に利息が付き、その分の利益が被害者に出ているため、10年かけて受け取るよりもまとめて受け取ったほうがトータルで得をすることになってしまいます。

加害者から被害者への損害賠償は、あくまで損害の補填が目的であり、被害者に利益を得させるためのものではないことから、このような利益分は控除されるべきとなっています。

なお、ライプニッツ係数は、2020年4月より年利5%から3%に引き下げられたことに伴い数値が変更されています。

3 具体的な計算方法

⑴ 計算方法

後遺障害の場合の逸失利益の計算式は、基礎収入×労働能力喪失率×労働喪失期間に対応するライプニッツ係数となります。

⑵ 基礎収入

基礎収入は、原則として事故前年度の年収を基準としますが、まだ就労していない子どもや学生、就労していても30歳以下の若い方などについては、賃金センサスによる全年齢平均賃金を基準とします。

⑶ 労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害によってどの程度労働力が低下したかを定型的に数値化したものです。

後遺障害は、その程度によって等級があり、労働能力喪失率は等級ごとに一律で定められています。

もっとも、後遺障害の内容によっては、就労に支障がない又は被害者の職種により減収がない場合は、後遺障害の等級ごとに定められた数値どおりの喪失率が認められないケースがあります。

⑷ 労働能力喪失期間

労働能力喪失期間の始期は、事故日ではなく症状固定時(怪我の治療を続けたけれども症状が一進一退となり、後遺障害として残存した時点)です。

労働能力喪失期間の終期は、就労可能年数である67歳までです。

症状固定時の年齢が67歳を超える場合は、簡易余命表記載の平均余命の2分の1の年数を、症状固定時の年齢から67歳までの年数が簡易余命表記載の平均余命の2分の1より短い場合は、その平均余命の2分の1の年数を労働能力喪失期間とします。