交通事故で紛争処理機構を活用するメリット・デメリット

紛争処理機構とは、自賠責保険の保険金等の支払に関する紛争を中立・公正な判断により解決することを目的とした、自賠法２３条の５の規定に基づいて設立された民間による裁判外紛争処理機関です。

自賠責保険の認定に不服がある場合、紛争処理機構に申立を行うことができます。

例えば、過失の有無、被害者の重大な過失による減額がある場合の過失割合、事故と損害との因果関係、後遺障害等級認定、休業損害など、個々の損害の認定額について、紛争処理機構に審査を求めることができます。

紛争処理機構の行った判断に自賠責保険は拘束される、というメリットがあります。

自賠責保険に異議申し立てをして否定されたとしても、紛争処理機構が自賠責保険の判断を覆せば、それを前提に自賠責保険金が支払われることになります。

また、これまでは紛争処理申請で新たな資料の提出は認められませんでしたが、令和５年８月からは新たな資料を提出できるよう運用が改善されたので、これもメリットとなります。

紛争処理機構への申し立ては１回しか行うことができない、というデメリットがあります。

そのため、紛争処理機構への申し立ては、十分に準備したうえで行う必要があります。

紛争処理機構に申し立てたけれども、その結果に不服があるという場合には、あとは訴訟で争うしかありません。

以上のとおり、紛争処理機構にはメリット、デメリットがありますので、申立をした方が良いのかどうか、専門家の助言なしに判断することは難しいのではないかと思います。

また、弁護士などの専門家に依頼せずに、紛争処理機構でご自身の意見を適切に主張することも難しいと思います。

自賠責保険の判断でお悩みの方は、交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。